「子供の時にだけ貴方に訪れる」という、トトロの歌が大好きだ。
幼い頃、鍵っ子で留守番ばかりのわたしはビデオテープが擦り切れるまでジブリと時間を過ごした。
30代半ばになっても、たまに使うジブリの台詞。日本の文化に近いと思う。
わたしは具合が悪いといつも母に連絡する。
母は電動ママチャリを飛ばして、わたしの元へ駆け寄って来てくれる。
遠くから颯爽と現れる母の姿にわたしは「お母さんネコバスみたい」と甘えた。
わたしは、いつでも助けてくれる母のネコバスにいつも守られていた。
2024.12.25 わたしは職場で具合が悪くなる。
いつも通り、母にLINEを打った。
つらいとき、苦しいとき、心で、お母さん、お母さんと叫ぶのは。
わたしがいかなる時でも母はわたしの健康を祈っていた愛情を無意識レベルで知っていたのだろう。
母が「大丈夫?」と返信を打ってる最中。
同じ職場の夫がビニール袋を持って、家までタクシーで送ってくれた。
わたしは胃の中を全部出して、夫が持っていたビニール袋でなんとか凌いだ。
足取り不安で家に着くと、息切れした夫が「脱水は危ないから、1時間に一回のんで」と、コンビニでスポーツドリンクを買って、職場へ戻っていった。
わたしは、眠った。
起きて、母から「大丈夫?」と連絡があり、通話した。
「ネコバスは大丈夫だったね」母が言った。
「自分たちでなんとかできた」と、わたしは返事する。
「よかった」
安堵する母に、わたしは当たり前に貰っていた愛情を、母の愛を、大人になることで、夫と生きることで。
感謝になっていった。
わたしもいつか母のように、気付かれないぐらい当たり前に感じられる愛情を渡したい。
(tomoyo)