夢のなかで、くりかえし降り立つ水辺がある
あれは、私たちが産まれた母なる海でもなければ
厳しい冬を越え、その雪解け水を運ぶ恵みの川でもなく
おそらくどこか、山奥深くの、湖の水辺だと思う
私はその日も、いつもの水辺に降り立ち
静かに、その縁を歩いていた
頭上を見やると、空が夜の天幕を張り
天井の星々が、躍っていた
すると突然、時空の一部が歪み、やがて収束し漏斗となって
無数の星々が、私という一点に向かい
いっぺんに、次々と流れこんできた
私という個が、無限でいっぱいに満たされた
しばらくすると、星々は私からひとつ、またひとつと
空高く、天井へと還っていった
ほうき星のように、その軌跡を残して
去っていくその様子は、いかにも儚げだった
燦然とした輝きを取り戻した天上と、水面に反射するそれの境目が、わからなくなった頃
私は、自分の内の、ひとつの温もりに気づく
たったひとつ、小さな星が
キラキラと輝きながら、私のうちに、健気に留まっていた
それは、私のこれからの人生を
永遠に、変えるものだった
(Maiko)