先日、2年間に渡って受けてきた、スキーマ療法という認知行動療法のひとつのカウンセリング期間を、無事に終えました。
「スキーマ」とは、過去の経験・記憶によって構造化された概念のことで、瞬間的に頭に浮かぶ思考やイメージ(自動思考)よりも深いレベルの認知、より継続的な蓄積された認知を指します。ちょっと難しいので、賞味期限切れの納豆を例にすると、自動思考が「納豆とはいえ10日過ぎてたらやばいな」という瞬間的に浮かぶ浅いレベルの認知だとすると、スキーマは「納豆だって悪くなる、お腹を壊したら大変だ」というような、より深く継続的なイメージや価値観、ルールのことを指します。
こういった深いレベルの認知を、ネガティブなものからポジティブなものへ変換させていく訓練をしていくのが「スキーマ療法」です。
通常のスキーマ療法は、場合によっては3年4年と時間をかけるものなのだけれど、今回のものはある研究の一環だったので、2年間のしばりのなかで行われました。
前半は、自分の生い立ちや育ってきた環境の記憶をさかのぼってヒアリングを受け、そこで育ってきたネガティブな感情や、思考の癖みたいなものを知るところから始まるので、多少辛い作業でした。後半、そのネガティブな思考の癖を受け入れてポジティブなものに変換させていく作業に入り、自分がいかにネガティブな思考回路だったかを思い知って、そこから立て直していくうちに、自分の気持ちとの向き合い方や、修正の仕方を身に着けていくことができたように思います。
つまり、心に残っている辛い出来事は、どんな些細なことでも、つまらないことでも、受ける人の気持ちやその人のキャパシティ次第で、人生に重くのしかかります。その一つ一つを受け止めて、感情を捉え直す作業をしていく感じです。
誰にも言えなかった小さな傷つきもわたしにとっては大きくて、でもそれを小さなこととして蓋をして、見ないようにしてきたことで、小さな一つ一つの積み重ねが大きく影響を及ぼしてきたということは多いと思います。その一つ一つを、カウンセラーさんと捉え直して、生き直す作業。一度した蓋を開けて見つめ直すのは辛かったけれど、チャーミングなカウンセラーさんと、たくさんの小さな気づきを共有して、当時の悲しみや怒りにきちんと向き合い、感情を修正するスキルを丁寧に築いていけた2年間は、わたしにとって本当に大事なものになりました。
スキーマ療法はこれからも一生自分で続けていくもので、まだ途上にあります。2年間のカウンセリング期間は終わりましたが、培ったスキルで訓練し続け、ゆっくりとでも本来の自分を取り戻していけたらいいなと思っています。
ちなみに、スキーマ療法のカウンセリングを受け始める前に行ったアセスメントで、14pt(中等症)と判定されたわたしのうつは、2年間終えた最後のアセスメントで、7pt(普通)となりました。0〜7が普通の値なので、まあ、それでも普通のなかの一番うつに近いところにはいるのだけれど、でも「普通」という判定が本当にうれしくて、帰りに奮発してワンピースを買ってしまいました(笑)。
(sayo)