点から線へ

「量的な労働」と「質的な労働」という考え方があることをNHK番組の「100de名著」プロデューサー、秋満吉彦さんの本で知った。

お盆休みも「量的な労働」に忙殺される自分には染み入る内容で、ふと読みふけってしまった。「量的な労働」は生活のために、自分の時間を切り売りするようなものだが、「質的な労働」は、その人の能力を真から発揮し、その人自身を輝かせるもの、らしい。実際は2つの要素は、あまりはっきりと分けられるものではないけれど、その2つを見分ける目を持つことは大事なようだ。

自分の勝手な解釈としては、「量的な労働」のなかにも「質的な労働」はあるもので、その光明みたいなものを見つけながら働くこと、自分を「労う(ねぎらう)」要素を意識することが、楽しく過ごすコツなのかな、とも思えた。

すっかり中間管理職になってしまった今は、他人のなかを渡り歩くような日々で、日常はその組み合わせでできているように感じられることもある。これを「量」としてとられるのではなく、さまざまな人の「質」を味わっていければ、確かな感触で歩いていけるのかな…。

それらは、一つ一つの点でできていて、全体像はわからないけど、部屋の中にいるときに感じるような不確かな世界の広さよりは、多少、実感がある「労い(ねぎらい)」になる気がする。面にはならなくとも、点と点をつないで、少しでも前に進めれば良いのだけど。

(umetsu)